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どういうことだ?
偉槻は呆然と、突っ立っていた。
残された誓耶の荷物。
こぼれた飲み物。
ほったらかしの、ポテト。
明らかに誓耶がいた形跡はあるのに、本人の姿はない。
店長は、慌ただしく居合わせた客に誓耶のことを聞き回っていた。
「偉槻、わかったぞ。」
偉槻は混乱したまま店長を振り向く。
「男に連れ出されたらしい。
つい10分くらい前、さっきだ。」
頭に言葉が入ってこない。
茉理子が、来た。
誓耶に絡んだ。
喧嘩した。
怒って帰って行った。
そこまではなんとかのみこめた。
そのあと。
誓耶が行方不明。
そしてどうやらそれは拉致。


