胡蝶蘭

手が、誓耶を触ってくる。



誓耶はぎゅっと目を閉じた。



怖い!



匡より、怖い。



匡の場合は、キスやセックスで終わる。



でも、こいつは何してくるかわからない。



「ははっ、嫌がってる。」



楽しそうな声で、顔で、男は誓耶を見下ろす。



その顔や声が、匡の響きと似ていた。



涙目で見上げると、顔まで同じに見えてくる。



誓耶はくっと声を漏らした。



「放して…!」


「だぁかぁらぁ、無駄だって。
男に力で勝てると思ってんの?」



思わないよ。



思えないよ。



勝てるなら、とっくに誓耶は居酒屋に駆け戻っている。



「やめてよ…。」


「やだよ、俺、金もらったしさぁ。
任務を全うしないのは雇い主に悪いだろ?」



にやりとまた笑う。



「やだっ!」


「やだじゃないの。」



よっ、と男が誓耶に覆いかぶさってくる。



怖い。