胡蝶蘭

どっちだったかな。



「確か、きっかけはあいつだ。」


「きっかけは?」


「ああ。
で、俺が言ったかな?」


「なんでうろ覚えなんだよ…。」



呆れたように、慎吾は偉槻を睨む。



「そんなげんなりするなよ。」


「せっかく楽しみにしてたのに、のろけ話。」


「聞きたいのかよ。」


「当たり前だろ、お前と誓耶なんだから。」



なんだよその理由。



「面白い話なんてないぞ、まだ日が浅いんだから。」


「ダイジョブ、キャラは濃いから。」



だからなんだよその理由。



お互い段ボールを抱え、トラックに運ぶ。



「でも、驚いたなぁ、話を時は。」


「そうか。」


「ああ。
誓耶に好きな奴出来たなんて話聞いたことなかったからなぁ。
嬉しい、お兄さんは嬉しい。」



お兄さん、か。



「泣かせでもしたら、俺の命が危ういな。」


「泣かせるまでは許すぜ。」



…いったいどこがデッドラインなんだ。



冷や汗が出る。