胡蝶蘭

ガンッと額を打つ音がする。



ちょっとやめてよその恰好。



なんか土下座してるみたいに見えるんですけど。



「誓耶ちゃん。」



ちろりと、慎吾が誓耶を見上げる。



「もっかい、聞いていい?」


「偉槻。」


「苗字は?」


「…なんだっけ?」


「大神だよ…。」


「そうそうそれそれ。」



慎吾はゆっくりと身体を起こした。



「そうかぁ、偉槻かぁ。」


「うん。
意外?」


「うん、意外っちゃ意外。
偉槻も女に興味示してなかったもん。
なんか、意外な奴らがくっついたな。」



ま、納得っちゃ納得かな。と慎吾は笑う。



どっちだよ。



「好きんなっちゃったの。」


「うん。」


「そっかぁ。
ま、俺が女なら間違いなく偉槻に惚れてただろうからな。
気持ちわかるよ。」


「…偉槻にキモがられるよ。」


「いやん。」



なにがいやんだ。