胡蝶蘭

じっと睨んでいる偉槻に気付かず、誓耶はこたつに滑り込む。



「さむ~。」


「お前、どれくらい待ってた?」



こたつの天板に肘をつきながら尋ねると、誓耶はふっと時計を見やった。



「うーん、20分くらいだよ。」


「…結構待たせたな。」


「いやいや、たかが20分。
偉槻だって遊んでるわけじゃないんだからさ、時間に食い違いがあっても仕方ないだろ。」



それはそうだが。



この寒空の下、一人で待たせたのは申し訳ない。



「な、今日の晩飯はどうする?」


「食いに行くか?」


「偉槻がいいのなら。」



悪いが、誓耶に料理を期待してはいない。



自分でもわかっているらしく、誓耶はあっさり外食をOKした。



「どこ行く?」


「ここは無難にファミレスだろ。」


「俺はどこでもいいけど。」



もっといいレストランくらい、連れて行ってやれるのに。



誓耶はいかにも女子高生らしい提案をした。



誓耶がぺったりと天板に伏せる。



そろそろ部屋も暖まりつつあった。