偉槻はもう既に誓耶から視線を外していて、この話は打ち切りになった。



意地悪。



もう一度、心の中でつぶやく。



6時って、中学生じゃあるまいに。



偉槻は今までよりもあたしを子ども扱いする。



どうして?



あんまりべったりとくっつかれるのが嫌?



…でも。



誓耶は這うように偉槻に近づき、背中に抱きついた。



テレビを見ていた偉槻は何の反応も示さずに、誓耶が回した手を優しく叩いた。



こうやって構ってくれるんだよな。



嫌ではないらしい。



…なのに、なんで。



「…どうした?」



ぎゅうっと抱きつく誓耶に、偉槻は訝しげな表情を見せた。



「お前、案外甘えただな。」


「嫌?」


「さあな。」



…答えは、はぐらかすか。



偉槻の馬鹿。



「なぁ、偉槻。」


「あん?」


「今週末、泊めて。」


「………お前、さっきの話聞いてたか?」