「もう、やめよ。
来て早々、こんな話したくない。」


「じゃあ、お前がもう少しわきまえろ。
簡単に男の部屋に泊めてくれなんて言うんじゃない。」


「いいじゃん、偉槻だろ。」


「それでも、だ。」



こないだみたいなことになるぞ、と偉槻はわざと怖い顔をする。



誓耶はこっそりと口を尖らせた。



…いいもん。



この間、晴れて恋人同士になった日。



その日のうちに、偉槻は誓耶を抱いた。



しかも、ベッドに引きずり込んで、家に帰さなかった。



それを反省したらしく、あれ以来キス止まりだ。



しかも、軽く触れる程度の。



気を使ってくれているというのは重々承知だ。



だが、誓耶としては面白くない。



相手にされていないようで、なんだか嫌だ。



最近、毎日のようにこうして押しかけているのに、必ず6時には家に帰される。



「偉槻の馬鹿…。」


「馬鹿で結構だ。」



今日も6時には帰れよ、と偉槻は釘を刺す。



「意地悪…。」



これは聞こえないふりをされた。