誓耶。



お前、今怒ってるか?



寝顔に問うてみる。



が、勿論答えは返ってこない。



偉槻はそっと誓耶の頬に触れた。



温かい。



すべすべとした子どもみたいな肌だな。



…って、十分子どもだがな。



こいつ、いつ起きるんだろ。



この調子だと、当分は起きなさそうだ。



身動き一つしない。



息遣いが聞こえなかったら、生きているのか危ぶむほどだ。



昨晩のことを思いだし、偉槻は急に照れくさくなった。



正直、こういった行為をするのは不慣れではない。



どちらかというと、さっぱりしているほうだ。



何度も寝た相手と街中で会っても、顔色を変えない自信がある。



が、今急に恥ずかしくなった。



…まともに顔を合わせられるんだろうか。



…まぁ、いいや。



幸せだから、いいや。



偉槻は布団の中をごそごそと動き、誓耶を腕に抱いた。



頭を抱き寄せる間も、誓耶は目を覚ます気配を見せない。