あいつにこれ以上迷惑がかからなければいいが…。



誓耶に嫌な思いはさせたくはないが、手放したくはない。



たとえ、本物の恋人でなくても、慎吾を守るための道具であっても、誓耶の傍にいたい。



そう思うほど、誓耶が愛しかった。



だから、偉槻はガラにもなくこんなところで待ち伏せなんかしているのだ。



情けないのは、カッコ悪いのは百も承知。



でも、失いたくない存在だ。



「あ。」



いた。



歩いてくる誓耶を目聡く見つけ、偉槻は早足に近づいた。



誓耶は偉槻に気付かず、黙々と歩いている。



「誓耶。」



声をかけると、誓耶は目を見開いて偉槻を見つめた。



「偉槻…。」



なんでここに?と視線が問うている。



「待っても、メールは来ないと思ったから。
話がしたい。」


「…あたしはいいよ。」


「俺が嫌だ。」



せめて、説明させてくれ。



「もう、いいよ。
どうせ、もうやめようって言うんだろ。」


「…何をだ?」



偉槻は厳しい目で誓耶を見据えた。