何度かけても、誓耶のケータイが繋がらない。



偉槻は舌打ちして、ケータイを放り投げた。



なんで出ない?



あれから一週間、誓耶は姿を見せない。



嫌な予感がした。



まさか、匡に何かされてるんじゃないだろうな。



動物園の豹のように、部屋を歩き回る。



バイトまで、まだ時間がある。



…あいつの家まで行ってみるか。



そうと決まれば、鍵と財布を持って部屋を飛び出す。



偉槻は手早く鍵を閉め、階段を駆け下りた。



あいつの家まで、走れば10分。



そう遠くはない距離だ。



息を切らせて、誓耶の家に向かう。



汗を少しかいた頃、誓耶の家に到着した。



時計を見ると、4時前。



誓耶の学校が終わって、帰って来る時間帯だ。



しばらく待ってみよう。



神が実在するなら、ばったり出会うことができるはずだ。