胡蝶蘭

「お前こそ、自分の服でも見ろよ。」


「あたしはいいよ、慎吾といつでも来れるし。」



結局、誓耶に負け、偉槻は服を探し始めた。



確かに、服も少なくなっているので、ありがたく甘えることにした。



「お、ここは?」


「高そう。」


「じゃ、ここは?」


「人が多い。」


「…ここは?」


「チャラい。」



すべての店を斬って捨てる偉槻に、誓耶は呆れ顔だ。



「もう、あたしはあんたがわかんねぇ。」


「だろうな。」



俺だってわかんねぇよ。



「お、ここは?
人も少ないし、静かだし、いい感じじゃん。」



服を引っ張られてそっちをみると、確かにいい雰囲気の店があった。



自然と足が向く。



誓耶はおとなしく偉槻の後ろをついて行った。



「いらっしゃいませ。」



誓耶が律儀に挨拶を返している。



思わず笑みがこぼれた。



馬鹿な奴。



誓耶は誓耶で、好きなところに歩いて行った。