胡蝶蘭

喧嘩腰の二人に、ウエイターは注文を取りにくるかどうか迷っている。



それに気づいた偉槻は大人しくメニューを畳んだ。



「もう決まったのか?」



誓耶は焦った様子で偉槻を見る。



忙しくメニューに視線を走らせながら、唸っていた。



「ゆっくりでいいぞ。」



一応言ってみるが、聞いちゃいない。



「決まったぞ!」



散々唸った挙句、噛みつくように言って、誓耶は乱暴にメニューの冊子を閉じた。



待ってました、とウエイターがやってくる。



偉槻が自分のぶんを注文すると、誓耶はまだメニューを覗いていた。



…なんだよ、まだ決まってないのか。



と思ったが、結局ズバッとシーフードカレーを注文する。



決まってたのかどっちだよ!



「お前、最後まで何と迷ってた?」


「ビーフ。
でも、エビが食べたかった。
でも、肉やらかいって書いてあったから、迷ってた。」


「餓鬼。」


「うるさいなぁ。」



頭を掻いた誓耶は唇を尖らせる。



「いいじゃん、結局シーフードにしたんだからさ。」


「別に俺はどっちでもいいよ。」



ちなみに俺はそのビーフだ。



「偉槻、ちょっと肉頂戴ね。」



ニタッと笑って、誓耶が言う。



…こいつまさか、俺の注文聞いて横取りするつもりだったんじゃ…。



恐ろしい奴…。