「偉槻、ギブ!」



ここでやっと偉槻は誓耶を解放した。



「俺に楯突いたらどうなるかわかったな?」



…そんな鬼畜顔で迫られても。



指をパキポキ鳴らし、偉槻は満足げだ。



「な、健。
こいつってこんなキャラだったけか?」


「うん、実はな。
サドッ気満載な鬼君主偉槻サマだから。」


「こっわ~…。」



と、後ろに気配を感じて振り返ると、祐司が立っていた。



「終わったか?」



偉槻が答えるより先に、誓耶が噛みついた。



「終わったか?じゃねーよ!
助けるとかないのかよ!」


「お前…。」



ゆっくりと祐司が誓耶に向き直る。



「介入したら、俺までトバッチリ食らうだろう。」


「…そこはカラダ張ってあたしを助けるところではないでしょうか。」


「俺はチキンと呼ばれてもいい。
もう差し入れシュークリームのロシアンルーレットは二度としたくない。」



………シュークリームのロシアンルーレット…?



隣で健がパチンと額を叩く。



「あぁ、あれな~。
あのときの偉槻の顔、まだ忘れらんね。」



…一体なんてことをしたんだ偉槻!