ぐしゃぐしゃに包装紙を丸める。



「俺、先に戻ってる。」


「あ、ああ。
わかった。」



慎吾の顔を見ずに立ち上がる。



無意識に偉槻は速足になった。



気分悪りぃ。



腹が立つ。



慎吾に対してじゃない。



何かに対してだ。



…何に対して?



俺は、何がしたいんだ?



どうして俺は、こんな気持ちに?



「くそ…。」



ちょうどすれ違った男が、毒づいた偉槻に驚いている。



それに気づいてまた自己嫌悪に陥った。



なんだか今日は調子が悪い。



頭に誓耶が浮かんで仕方ない。



…ストレスかな。



久し振りにみんな集めて楽器触るかな。



決めると、少しだが気持ちが軽くなった。



こういうときは趣味に逃げるのが一番だ。



偉槻は歩きながらケータイを取り出した。