慎吾の目を見るのが嫌で、金髪を睨んで先を急かした。



「で?
なんであんな強情っぱりなオトコオンナに育ったわけ?」


「それは、簡単。
男になりたかったから。」


「は?」



わかるだろ、と慎吾は空を見上げた。



「泰誓さんが死んでから敵だった奴に喧嘩も吹っかけられてたみたいだし。
泰誓さんに憧れてたし。
だから、兄貴みたいになりたかったんだろ。」



こともなげに、慎吾は言う。



兄貴に憧れてた、か。



そんな理由なのか。



「それに。」



心なし、慎吾の声が沈んだ。



「これは俺も最近問い詰めて聞いたことなんだけど…。
男に力ずくでヤられて、女の非力さ味わってんじゃん?
男なら従兄にあんな仕打ちは受けないわけで。
だから、男っぽくしてれば男はもっと可愛い女んとこ行くって思ってんだろ。」



俺の推測だけどな、と慎吾は最後に付け足す。



「そうか…。」


「俺はそう睨んでるよ。」



馬鹿そうに見えてた慎吾が、自分よりも大人に見える。



しっかり誓耶のことを見守ってきたということが嫌というほど伝わった。



「あいつには俺が話したって内緒な。
言ったら縁切られる…。」


「わかった。」



複雑な心境。



誓耶のことはわかったつもりでいた。



それが、自分よりもずっと誓耶のことを知ってる奴に納得のいく説明を聞かされた。



…馬鹿は俺だ。