胡蝶蘭

俺からすれば、眩しいのはお前のほうだ。



「大神の俺の印象はどんなだったんだ?」


「お前への?」



うん、と慎吾は鼻を掻く。



そうだな、慎吾への印象。



「煩い奴だと思った。」


「う…。」



慎吾は胸を押さえた。



まあ、最後まで聞け。



「最初は誓耶に聞いてた名前だったから話しかけたけど、だんだんお前と話すのが楽しいと思えるようになったよ。」


「ホントに!?」



途端に慎吾が顔を輝かせる。



「ホントに!?
ホントにホントにホントに!?」


「ああ。」



迫ってきた顔を押し戻す。



慎吾はびたんとコンクリートの床に倒れながらも笑い続けた。



「やった、俺嫌われてるのかと思ってた!」


「なんで嫌いな奴と一緒にメシ食わなきゃなんねーの。」


「そこが大神の優しさかなと。」



俺はそんな完璧超人じゃねーよ。



変に憧れられると怖いな。



「そーか、嫌いじゃないか。」



はっはっはと一人で笑う慎吾を横目に、再びバーガーをかじる。



「誓耶に報告しないと…。」



いひっと笑って、慎吾はケータイを取り出した。



「は?
お前なに言って…。」



冗談だと思った。



のに、なんで本当にケータイ取り出してやがんだこいつは!