胡蝶蘭








慎吾と初めて話した日から、慎吾は頻繁に話しかけてくるようになった。



「俺、大神と話せるなんて思ってなかったから嬉しくって。」



真っ直ぐな目で笑われたら、言い返す皮肉なんて見つからない。



結局、昼食は毎日一緒にとることになった。



「俺はお前にどんなふうに見られてんだ?」



大口を開けてバーガーにかぶりつく。



今日の昼食は人気チェーンの100円バーガーだ。



「カッコいい人。」



照れもせず、慎吾は言う。



言われた偉槻が赤くなった。



「どこら辺が?」


「うーん、クールな男って感じで。」


「あぁ…。」



それならもうずっと言われ続けてきた。



こいつも同じ理由かと、少し軽蔑した。



が、慎吾は先を続けた。



「でも、なんか優しそうな感じがしたんだよな。
こう、冷たいクールじゃなくて、あったかいクールっての?」



思わず、食べる手を止めた。



慎吾は気づかず続ける。



「大抵クールなイケメンってモテるじゃん?
で、俺らを見下すの。
でも大神は気取ってなかったから仲良くなりたかったー。」



屈託のない笑顔。



「眩しかったんだよな、大神。」