胡蝶蘭








「聞け。」



学校が終わる頃、慎吾から呼び出された。



そして、校門の前で待ち伏せされ、このしたり顔。



「なんだよ。」



ニヤニヤしてんの気持ち悪。



「聞け。
聞いて驚け。」


「だから何。」


「今日、大神と話した。」


「おお、よかったじゃん。」



パチパチと拍手を送ってやる。



「一体どんな汚い手を使った。」


「失礼な奴だなお前は。」



知ってます、と歩き出す。



慎吾は慌ててついてきた。



「待てよ、聞けよ!」


「聞いただろ。
これ以上付きまとうな。」



きゃー助けてストーカー。



棒読みで叫んでやると、慎吾はさらに慌てて大声で掻き消した。



「違うもーん、オトモダチだもーん、怪しくないもーん。」



それが既に怪しいんだよ。



証拠に、ケータイ取り出してる善良な同級生がいる。



「あっ、てめっ、何やってんだよ!」



それを見つけた慎吾が泡を食って飛び掛かる。



「いやいや、それこそ通報モンだから。」



返せ、と自分のものでもないケータイを取り上げている慎吾の横を通り過ぎ、家路につく。