胡蝶蘭

偉槻は煙草を吹かした。



…あいつはそんなに強い奴だったのか。



もし知らずに喧嘩でもおっぱじめてたら…。



おー怖。



「ただ、残念なことに弱点がなぁ…。」



舌打ちして、慎吾は頭を掻く。



「なんだ?」


「喧嘩なら負けないんだけどさ、セクハラされると弱くって。
俺、あいつ喧嘩強いから大丈夫だろうと思って別行動したら、なんか男に誘拐っぽいのされて。
慌てて取り返しに行ったことがあんだ。」



誘拐っぽいの?



軽く言うが、考えてみれば大変なことだ。



「お前、誘拐って…。」


「な、俺も今思い返すと怖くって。
もう、ケツでも触られたら終わり。
あいつ固まって、思う壺なんだよ…。」


「それは…。」



想像がつく。



あんなに怯えてる姿を見た偉槻は想像するのが容易だった。



「それ以来、もう誓耶から目が離せない。」


「…離すな。
一生監視してろ。」


「大神も手伝って。
俺一人じゃあのじゃじゃ馬娘は御せねー。」



確かに。



なんてったって、夜中にあの恰好で一人歩きする奴だ。



いくらあの状況でももう少し後先考えて行動してもらいたい。