話せば長くなる。



そして、確実に偉槻の好感度が下がる。



別に堪えはしないが。



「話すと長くなるからいい。」


「いーじゃん、聞きたい。」



話しかけなければよかったか。



休憩時間を丸々とられそうだ。



「ケータイ。」


「え?」


「俺が落としたケータイを奴が拾って、届けてくれた。」



慎吾は大げさに驚いた。



「あ、あの時の。
俺、あいつがケータイ拾ったって言ったときは驚いたなぁ。
場所がさ、なんかヤバいとこだったらしいんだよな。」


「……俺はお前の言うヤバいところに出入りした覚えはないんだがな。」



じろりと睨むと、慎吾は慌てて手を振った。



「違う、そういう意味じゃなくて。
なんていうの、警察がよく巡回にくる、カラオケとかゲーセンの路地っていうの?
…補導されたことが何回かあって…。」



俺達、下手すると顔なじみに会っちゃうんだよね。



…お前、それは笑って言うところか?



「…お前にとってのヤバいところってのは警官に補導されやすいスポットってことか?」



どんな場所だよ。



ヤバいの程度が小さい。



慎吾はたはっと頭を掻いた。



…一昔前の漫画かよおい。



ったく、類は友を呼ぶってまさにこれだな。