あった。
偶然とは案外近くに転がっているものらしい。
偉槻はすっかり忘れていた涼宮慎吾の顔をぽかんと眺めた。
「大神も誓耶のこと知ってんだ。」
無邪気に、慎吾は目の前で笑う。
「誓耶っていう女を知ってるか?」という問いに、慎吾は顔を輝かせて「知ってる!」と答えたのだ。
まさか、と偉槻はつぶやく。
彼氏だと疑われて危うくトバッチリを食らう予定だった男。
それが、やたらと偉槻にかまってくる新入り、涼宮。
最近おとなしくなってきたと思っていたが、変なつながりがあった。
「なに、どこで知り合ったの?
あいつ、そんな外出歩くほど社交的じゃないのに。」
そう言う顔が嬉しそうで。
よっぽど誓耶は友達がいないんだな。
「ちょっと変わってるけど、いい奴だろ?」
にかっと笑う慎吾に、偉槻は逆らえずに頷いた。
「是非とも仲良くしてやってくれよな。」
「お前がそれを言うのかよ。」
「え?
だって、嬉しいもん。」
何が?
お前は兄貴か。
「で、大神はどこであいつと知り合ったの?」
「あ~…。」


