声がした。



もう一度、偉槻を呼ぶ声がした。



…なんだよ、結局起こされた。



出ていくと、誓耶が座り込んでいた。



無意識に脚に目がいく。



偉槻はそれから視線を引きはがし、隣にしゃがんだ。



なんでそんな不安げなんだよ。



俺の家なんだから出てくわけないのに。



「あたし、強くなれない…。」



そう言った誓耶の声が可哀想なほど掠れていて。



胸が痛んだ。



こいつ、どんだけ寂しがりなんだ。



いつもなら「弱虫」なんて言ったら食ってかかってきそうなものなのに。



こいつも結構弱い存在だな。



なぜか胸に湧きおこる、“愛しい”という感情。



偉槻は慌ててそれを掻き消した。



俺がそんなことを思うなんておかしい。



ちゃんちゃらおかしい。



あり得ない。



偉槻はその焦りを掻き消すように、強引に誓耶に水を飲ませる。