と、ガラッと襖が開いた。



驚いて見上げると、偉槻が立っていた。



…そんなところに襖なんてあったんだ。



気付かなかった。



はあっと安堵の息を漏らす。



偉槻が不機嫌そうな声でなんだと出てきた。



「お前、寝かせろよ…。」


「だって…。」



いなくなったかと思った。



「なっさけない顔しやがって。」


「どっか行ったかと思った。」


「なんでだよ。
ここ俺の家だろ。」



それでも。



置いて行かれたかと思った。



大きなため息をついて、偉槻が誓耶の傍にしゃがみこむ。



「お前さぁ、結構弱虫なんだな。」



何も言い返せない。



確かにその通りだ。



あたし、駄目だ。



強くなろうと思ってたのに…。



「あたし、強くなれない…。」



偉槻は何も言わなかった。



黙って立ち上がって、水を持ってくる。



「飲め。」



半ば強引にコップを押し付けられる。



わけがわからないまま、誓耶は水を口に含んだ。