胡蝶蘭

「俺に言わせれば、お前こそ危なっかしい。
こんな夜中に一人でそんな恰好で現れて、部屋に二人っきり。
従兄と同じような状況でいて、どんなことされたのか思いだせよ。」


「…何。
偉槻はあたしとそういうことしたいの?」


「したいしたくないの問題じゃなくて、勢いでそうなったら?
考えろ馬鹿。」



すると、またもや誓耶は鋭い目で偉槻を射た。



「前に偉槻はあたしでそういうこと考えるほど飢えてないって言った!」



…覚えてたのかこいつ。



「それに、偉槻は…。」



俺は?



その先はいくら待っても続かなかった。



誓耶は唇を噛んで黙りこむ。



偉槻ははぁっとため息をついた。



「まあいい。
取り敢えず襲うような真似はしないから安心しろ。」



誓耶は一度怒ったように偉槻を見上げ、膝に顔を埋めた。



「…布団、敷いてくる。」



偉槻が立ちあがると、誓耶は軽く偉槻の脚を叩いた。