胡蝶蘭

まあ、キスされてるところを目の当たりにした偉槻としては、想像がつく。



あのキスのしかたも悪戯程度の軽いものではなかった。



あんなの、毎日されてるとしたら…。



逃げ出す。



「だから、そんな恰好?」


「…逃げてきた。」


「そうか。
…大丈夫なのか。」



わかんない、と弱々しく誓耶は笑う。



「でも、気が済めばいつも通りになるから。」


「その気が済むまでがお前…。」



偉槻は頭を抱えた。



同じ男として情けない。



従妹を犯すってどうだ。



「…それで、これ以上ヤられるのが嫌で俺に彼氏を語れって?」


「ううん。
前に言っただろ、友達があたしの彼氏じゃないかって勘違いされたって。」



ああ、そうだったと偉槻は顎を掻く。




「中学で出会った先輩っていうか友達がそいつなんだけど、その人をあたしの彼氏じゃないかって匡が勘違いして…。
そいつに迷惑かけたくなかった。」


「俺は身代わりかよ…。」



チッと舌打ちした偉槻に、誓耶は慌てて謝った。



「違う!
あたしは…!
あんたは簡単にやられそうになかったから…。」


「わかったわかった、そんな必死になんな、冗談だ。」


「冗談に聞こえねぇよ…。」



くしゃっと誓耶は顔を歪める。



…ちょっと悪いことをしたか?