胡蝶蘭

…でも、電気がついていない。



頼むから、いてくれ。



胸の前で手を組んで祈り、階段に足をかける。



頼む、とつぶやいて、ドアをノックした。



…反応は、ない。



駄目か…。



仕事か…?



そういえば、この間世話になったときも夜中まで働いていた。



ここからあの店へはそう遠くない。



誓耶はそこへ行ってみることにした。



家に帰るより、寒空の下彷徨うほうがよっぽどましだ。















誓耶は必死で足を動かした。