胡蝶蘭




髪から滴る水をタオルでわしゃわしゃと拭き取り、誓耶は風呂場を出た。



廊下と触れる足が急激に冷えていく。



誓耶は部屋に急いだ。



「わっ!」



いきなり身体に抵抗がかかり、身体が浮く。



見上げると、やっぱり匡だった。



「なに?」


「お話しよう。」


「は?」



にこっと笑ったかと思うと、匡はすごい力で誓耶を引っ張った。



「ちょ、何!?」


「こっちの台詞だよ。
男できたってどういうこと?」


「そのまんま。
なんなんだよ。」



振り払うと、またキス。



唇をぶつけるように、何度も何度も。



頬を挟む手の力が物凄かった。



「俺と…いるのに…。」



唇が離れる隙間に、言葉を押し込む。



匡はいつも以上に力を込めていた。



「放し…!」



無理、振りほどけない。



力の差が…!



偉槻…!