胡蝶蘭








偉槻と契約をして、3日。



まだ、連絡はとっていない。



第一、誓耶のケータイは匡に没収されたままだ。



いつ返してもらえるんだろう。



自分で言いに行くしかなさそうだ。



ため息をついて、立ち上がり、部屋を出る。



向かいのドアから電気が漏れていた。



「匡。」



おずおずと呼びかけると、足音がして、ドアが開いた。



「何、お前から来るなんて珍しいね。
俺が恋しい?」



言うが早いか、唇が重ねられる。



違うのに!



身体が言うことを聞かない。



振り上げた手は匡にあっさりと受け止められ、握られた。



「んぅ…。」



放してよ。



いつの間にやら、部屋の中に連れ込まれベッドの上。



誓耶は胸のボタンをはずしている匡の手を止めた。



「放して。
あたし、ケータイが返してほしくてここに来たんだ。」



ふと、匡は誓耶を見る。



口がケータイ、とつぶやいた。