店長は、強面の顔をだらしなく硬直させていた。



「店長。」


「な、なんだよ。」



ちょっと、と顎をしゃくる。



店長はふるふると首を振った。



「嫌だよ、お前怒ってんじゃん。」


「いいからちょっと。」



怯えた店長を引きずるように、偉槻は厨房を出た。



その背中に、みんなが合掌した。













「なんだよ、偉槻、やめろよ。」


「……。」



偉槻は無言で手を放した。



壁際に追い詰める。



店長は赤ら顔を真っ青にして偉槻を見上げた。



「な、なんだってんだ。」


「田中に言いましたね?」



何を、とは言わなくてもわかったらしい。



店長は気まずそうに顔を伏せた。



「なんであんな奴に言うんですか。
歩くゴシップ誌ですよあいつ。」


「わかってるよ、そんなこ…。」


「ならなんで?」



ずいと低い声で迫られ、またもや店長は委縮する。