少しぶっきら棒に、誓耶は言った。



「今は、伯父夫婦と匡とあたし。
でも、ホントの家族は兄ちゃん。」


「ふぅん。
兄貴、いたんだ。」



歳は?と偉槻は当たり前のように訊いてきた。



誓耶は驚いて偉槻を見る。



「なんだよ。」



いきなり顔を上げた誓耶に驚いた様子で、偉槻は目を丸くする。



「そんなこと訊いてきたの、あんたが初めて。」


「へぇ。」



なんだそんなことか、と偉槻は身体を元に戻した。



「今、生きてれば27。」


「そんな離れてるのか。」



うん、と頷く。



「カッコいい兄ちゃんだよ。」


「それだけ離れてれば、もう親父感覚だろ?」



偉槻は笑って言う。



いや、そうでもなかったな。



首を傾げる誓耶を見て、偉槻は笑うのをやめた。



「父ちゃんの記憶はない。
兄ちゃんは、兄ちゃん。」


「そうか。
どっちにしろ、いい兄貴だったんだな。」


「まあな。」



自分の声が誇らしげに響いた。



兄ちゃんは、あたしの自慢の兄ちゃんだ。