「なぁ、行こうぜ?」


「もう遅いだろ?」


「大丈夫。
向こうも仕事が長引いて今終わったって言ってるし。」



今終わる仕事?



会社でいいポジションの年上かなんかか?



田中にしては珍しいタイプだと思い、訊いてみた。



「相手はどんな仕事なんだ?」


「ん?
キャバ嬢?」



……感心した俺が馬鹿だった。



適当な言葉が見つからず、偉槻は黙って歩き出した。



「わーっ、ちょっと待って。
偉槻、頼むよ、今度なんか奢るからさ。」


「奢ってもらわなくていいから今帰らせろ。」


「ちょっと、頼むって。
俺にも彼女が出来るチャンスなんだよぉ。
他にも男来るし、嫌なら静かに酒飲んでればいいじゃん?」



偉槻は無視して早足に歩く。



田中は偉槻に掴まったままズリズリと引きずるようについてきた。



「いづぎ~。」