女はやっと男の存在に気づいたが、男は攻撃をやめようとはせず、持っていた包丁を女の腹部に刺そうとした。

しかし、包丁は女の身体を貫くことはなかった。

女は、男の左手首を握り、思いっきりひねった。

「ぐわあ!!」

男は悲痛の悲鳴をあげるのが、女は容赦なくさらに力強くひねる。

包丁は男の左手から落ち、それと同時に女もひねるのをやめると、包丁をさっと拾い、自分の鞄の中にいれた。

――ああ、助かった。

男は安堵のため息を吐いた。
しかし、それはぬか喜びだった。


女は、身体を後ろに向けると、素早い動きで男の顔面に回し蹴りを食らわした。

男は悲鳴をあげる余裕もなく、道路に倒れ、そのまま気絶した。それを確認した女は何事もなく、そのままその場から離れていく。



護身術教えます。
いわなみ空手道場。



「…長いCMだったな」

「自業自得ですけど、男に同情しますね。道場だけに」

「はっきり言って上手くないからな」

「黙れ。ヘタレ鼻水」

「てか、話のネタなくなったからやめるか?」

「そうですね」

こうして、いわなみ空手道場は、幕をおろした。

「いや、まりこ探偵局だから」


-完-