まだ納得いってない彼の心情
写したみたいに腕の力が強まって
痛いくらいだったけど我慢して
更に言葉をぶつける。


「それにユウキだって
今までみたいにはいかない。

責任とか色々
グループとして背負ってかなきゃ
いけないものあるでしょ?
自分一人好き勝手には出来ない」


停車した新幹線から
少し人が降りてそれ以上に乗車する人
ざわつくホームに
時間がないって当たり前にわかる。


でもこんなギリギリでもないと
ユウキの事
諦められなくなりそうだったから

時間という制約の中に
私たちを追い詰めた。


ユウキの背後でケンたちが
新幹線に乗り込むのが見える。


ユウキは暗い表情で私を見下ろすと


「ホントにそれだけが理由か?
お前俺とマネージャーの話
今朝聞いてただろう?
それで責任感じて――」

「――それもあるけど
それだけが理由じゃない。
一人でやってみたいの。

今まで自分には出来ないって
諦めてたけど
曲を自分で作りたい。
それで自分の気持ち歌にしたいの。

ユウキがそばにいたら
私きっと甘えてしまう。
音楽も何もかも中途半端になる
そうはなりたくないの」


崩れ落ちそうになる足
必死で立たせて
ユウキに訴えかける。


ここで崩れたらきっとユウキ
私を心配して前に進めなくなるから。


彼とはここで別れる。
その温もりに甘えるのもこの時間まで。


これが今日一日考えて抜いて
自分で出した答え。


間違ってるって人は言うかもしれないけど
私にはこれしか答え
見つけられなかった。

ユウキと私が
この先ちゃんと前に進める為。


――本当に時間がない。
お願いだからわかってほしい。


ユウキは目を伏せると


「それじゃあ俺達もう終わり?
これでサヨナラ?」

「……これは私の勝手な気持ちで
断ってくれても構わない。

ユウキと対等の位置でいられる場所
手に入れたら
もう一回好きって伝えるから
それまで待ってて欲しい」