ユウキと二人急いでホームに駆け上がって
グリーン車のところ
ケンとか他のメンバー
それに上野さんが固まってるのが見えた。


彼らはまだ私たちの姿に気付かないで
そこに向かおうとしたとき
騒音と突風と共に
東京行きの新幹線が
ホームに駆け込んで来た。


きっとここに停車してるのは
あと3分ぐらい。

そろそろあの話を
言わなきゃいけない――。


「ユウキ」

「うん?」


風圧で舞い上がる髪を押さえ
回りの音に掻き消されないように
喉に力を入れた。


私の声にユウキが振り向き
不思議そうに顔を覗き込む。

サラサラと前髪が揺れる彼の顔
まっすぐに見つめて言った。


「もう、会わない」


返事はなくてもその言葉は
ちゃんと届いたみたいで
形のいい眉、彼が潜めた。

そして一瞬押し黙った後


「なん……
もう一回言ってみろ」

「だからもう電話もメールもしない。
ここで別れよう」

「は?何でだよ!
どうしていきなりそんな事」


うで引っ張られて
凄く近い位置で強い視線ぶつけられた。


その腕のぬくもりに
すぐに揺らぎそうになる心
ぐっと堪えて彼に告げた。


「駄目だよユウキ。
私なんかにかまってちゃ。
ユウキにはもっと大切なものあるでしょ?
世界中に歌を届けるっていう大切な使命」

「そんなの
お前がそばにいても全然」

「うん、確かにユウキは出来るけど、
でもきっと私がいない方が
もっと高く飛べる」

「そんなのお前の勝手な言い分だろ?
俺はお前がいた方がいい。
守るものがそばにいた方が
俺は強くなれる」

「だからダメなのそれじゃ
守ってもらうばっかりで
私は何も返せない。

ケイとのときだってそうだった。
彼にずっと守ってもらって
彼と別れてからも私何もしないで
ただ待ってることしか出来なかった。

結局一人じゃ何もしてなくて
立ち上がって歩いてく方法
わからなくなってしまった。
それじゃダメなの」

「……」