「じ、じゃあずっと前から
私の事知ってたの?」

「ああ、そーゆー事。
ケイが向こうで調べた
お前ん家の住所手掛かりにして
学校帰りとか
ちょくちょくお前の様子見に行ってた。

しばらくは元気なくて
でもそのうち笑顔見せるようになって
あいつらがCD出してからギター始めて
バンド組むようになったことも。

ってもしかして引いてる?
ストーカーとかじゃないからな俺。
だってケイが
絶対ばらすなって脅すからさ」

「ううん、平気」


焦って言い訳する姿に
首を軽く横に降りながら返事をすると
ユウキは安心したように息をつく。


「言っとくけど
そんなに四六時中
見張ってたわけじゃねーし。

現にお前がいたバンドが
どんな音出してんのか
一昨日まで知らなかったしさ」

「……うん」

「だからお前のギターの音初めて聞いて
スゲーショックでさ。

あの事件のせいで
歌う事避けてるんだろうとは思ってたけど
昔のお前の音と
丸っきり変わっちまったから」

「……え?」


昔の音って
何でユウキがそんなの知ってるの?


訝しげに眉を潜めると
ユウキは煙草灰皿にこすりつけた後


「前話したの覚えてるか?
俺がまた音楽始めようって
きっかけになった一曲」

「うん、覚えてるけど
もしかしてそれってケイの曲?」

「お前なぁ、にぶすぎ。
いくらなんでも
今までの話の流れでわかんだろ。
いくらケイに頼まれたからって
それだけでわざわざお前の様子
見守ろうって決めたわけじゃない。

あんとき俺が聞いたのは
お前の歌だよ」

「ええっ!?」


想像もしてないその答えに
一気に頬が赤くなった。


な、な、何で?
何でユウキが私の歌を?

まさか――

思い当たる犯人なんか
一人しか思い付かなくて
その人物の名前を私が発するより先に
ユウキが口を開いた。