私にはかなり大きい
マイクのジャケットを羽織ると
心と身体両方がポカポカと暖かくて

凄く嬉しくなって
隣のフィルに飛び付いた。


「うわっ!」

「ねえ、ねえ、
サッカーやり方教えて。

私もやってみたい
ほら、さっきヴィンスが
やってたみたいな」

「おう、わかった。
わかったからアキ
抱き付くの止めてくんねえ?

ほら、ケイがスゲー顔で
俺の事睨み付けてる」

「手遅れだなフィル。
ああなったケイは誰にも止められねぇ。
兄弟もろとも地獄行きだ。
骨ぐらいは拾ってやるから」

「つかヴィンス
マジしゃれになんねーから、
本当マジ!助けてー!」

「どうしたの?フィル
そんな汗かいて、暑い?」

「ダメだ。
コイツまだ全然わかってねぇ」


――そうして
彼らの優しさと笑顔と
ありったけの愛に囲まれながら

私のカナダでの生活が
ゆっくり、ゆっくりと過ぎていった――。