『オイ!ユウキ!!
しっかりしろ!
お前ならアキが行きそうな場所
落ち着いて考えればわかんだろ?

さっきの話しもよくわかんねーし
後でゆっくり聞くから
今はアキを探すのが先だ。

俺らも手分けして探すから
お前がそんなんなってどうすんだよ!

大丈夫、アキは
そう簡単には死なない。
お前と同じように
あいつの意志受けついでんだろうが!』


熱く煮えたぎった俺の心に
ケンの言葉がスッと入り込んで
冷やしていく。


――そう、だ。
アキはきっと死ねない。


アイツの血と意志を受け継いだアキは
アイツと同じように
きっと音楽を捨てられないから――。


『おい!ユウキ大丈夫か?
どっかねえのかよ?
アキが行きそうな場所!』

「……海」

『は?』


バカだ俺
アキがこんな時行きたい場所なんて
一つしかないだろうが。


冷静になれば
当たり前に解るだろうが。

本当どうかしてた。


「海だ。
絶対海にいる」


力強くそう言うと
携帯をポケットに突っ込みながら
方向をぐるりと変えた。


目指すのは二日前に
アキと出会ったあの海岸。

つい最近の事なのに
ずいぶん前の出来事みたいだ。


アキ、頼むから無事でいろよ。

大事な奴を失うのは
もう絶対に嫌なんだ――。


――――――