「………」

「やっと来たよ。かすみさん、もしかして、生身の人間と話すの久しぶり?」

すごく普通に話しかけてくるから不思議。

「どうも、はじめまして。俺の名前は『真崎 謙汰』。岾科(やましな)高校二年、歳は16才、かすみさんと同い年だよ。」


「…あなた何者??」

何でわたしのコト、そんなに解るの?嫌だな、この人、絶対、危険。


「そんなに警戒しなくてもいいよ。ナンパじゃないしさ。取り殺さないし。取り殺されもしないし?……大丈夫だって、俺、霊感あるし、強いけど、君を成仏させに来た訳じゃないんだから。」


笑いながらそんな事いうから、思わず、後ろに飛びすさって、うかがう。


「あ〜ごめん、本当怖がらせるつもりは無いんだけど…俺、昔から見えるタイプだから、別に怖くないんだよ。」

……ってか、わたしが怖がってどうすんの。そして慰められてたりして。


「ここら辺で浮遊してる君に気付いてたんだよ。今日は本当に話ししに来ただけ。」

本当に普通に話しかけてくる、友達みたいに。

警戒しながらも、ユラユラと少しずつ近付いてみる。


「…どうも、こんにちは…悠莉です……」

挨拶してしまった。

「どうも、こんばんは。謙汰です。悠莉さん、いつもここにいるね。」


「…何で解るの?名前とか…」

尋ねながら、謙汰の顔をマジマジと見つめる。
目鼻立ちのハッキリとした端正な顔立ちをしていた。一重で、まっすぐこちらを見つめる目に力があって、怖じけづいてしまう。
やっぱりこの人、タダ者じゃない。


「何でって言われても、見てると何となく解るんだよ。霊感強い奴って、きっとみんなそうだと思うけど?」

…そうなんだ。

「悠莉さん、ここで死んだんだね、即死じゃん。即死だと、あまり痛くないのかな?」


「…覚えてないです…」

何でこんなにコイツ誘導になってる訳?わたしの方が幽霊なのに。


「そういうものなんだ。でもそいつワルイ奴だね、酷い男に引っ掛かったんだ。死ぬ事無かったのに。」

「…!!ちょっと!アンタ何よ、そんなにズケズケわたしの中見ないでよ!やめてよ」

どこまで解るんだろう、嫌だ嫌だ、うっとうしい、デリカシー無い、気持ち悪い。