彼女の望むこと…

彼女の…

大切にしているモノ…



それは…歌…



「亮子さん…
歌…歌っても
大丈夫なんですか?」



「あんまり良くは
ないかな…
でも…あの子は
歌いたがってるわよ」



僕は亮子さんの

顔を見た。



すると

亮子さんは頷いた。



「茉莉に…
一曲だけでもいいから
歌わしてあげたい…
そしたら彼女も
決心できる…
そんな気がします」



亮子さんは立ち上がり、

手を差し出した。



「最後になるかもしれない…
思いっきり歌わしてあげて…」


僕はその手を握り

頷いた。