病室を出た僕は

重い足を引きずるように

廊下を歩いた。



すると彼女のいとこが

追いかけてきた。



「どうしたぁ?
暗い顔して」



「あ…いや…」



言葉が出なかった…



「私今から休憩だから
ちょっと話しよっか?」



僕は頷いた。



しばらく外のベンチで

待っていると

小走りでやって来た。



「お待たせー。
はい、コーヒー」



「ありがとうございます」



受け取ったコーヒーを

一口飲むと、

いとこのお姉さんは

話した。



「茉莉の病状聞いた
みたいだね?
ショックだった?」



「はい…
お姉さんは
どうしたらいいと
思いますか?」



「亮子でいいよ。
どうしたらって何を?」



「何をって
茉莉の…」



「君はどうしたら
いいと思う?」



「手術しないと
助からないなら…
手術するしかないと
思います…でも…」



「私も手術するしか
ないと思うわ。
それは茉莉も
茉莉の両親も
みんな同じ考えよ。
だから手術する事を
前提にみんな考えてる。
茉莉の許可なく
君を連れて来たのも、
万が一の時に
茉莉に残る後悔を
減らしてあげたかった
からよ。
だから君も
茉莉が今求めている事を
出来る範囲で
与えてあげれば
いいんじゃない?」



「茉莉が求めている…
今の茉莉が望むこと…」



「そう…
私や親ではできない、
君にしかできない事が
あるんじゃない?」