むかしっからそんな聖人が羨ましかった。



だって1人の女を必死に思ってる聖人は誰よりもカッコよく見えたから。





オレはそんな女を探したけど誰もいなかった。


どんなに可愛い奴、きれいなやつと付き合っても本気になれる気がしなかった。





――なら性欲処理にでも使おうか――



そんな感じで今まで過ごしてきたんだ。




我ながらオレサイテーだな。




だからあの日もいつものように女と寝た後部屋ぬ戻ろうとしてたんだ。



オレは女は絶対自分の部屋には入れたくはない。


だからいつも女の部屋でヤッてる。





でもあの日、エレベーターから降りた俺は目を疑った。



女が1人廊下を見て立ち止まっていた。




ちいせぇな。あの女。


オレは大して気にも留めず歩いてたんだけど。





いきなり振り返ってぶつかるからだ。



「あの、すみません」


オレを見上げて言う1人の女。