ブラッド・チキン

僕がこんなに心を痛めてるのに、
能天気にそいつは教室に現われた。

「おはよう、朝から熱心やな」
僕のカメラを見ながら言った、

森田と違って、
そいつの朝はシャッターチャンスはない。

朝日って名前のくせに朝が思い切り苦手やから、
通常の2割引きの表情しか撮れない。

朝日俊哉、僕、上田亮二が惚れてる相手、
同じ写真部だけど朝日は新聞部とかけもちしていて、

ジャーナリスト志願で、
写真を撮ってるところは見たことない。

とにかく好奇心旺盛であちこちに出没する、
顔が広くて、同級生だけじゃなくて先輩や先生の情報とかもよく知ってる。

大きな身体に、大きな声で気持ちよく笑う奴なんだ。