「途中までは良かったんだよ、途中までは。2人で一生懸命勉強してさ。受験生ながらも、青春ーって感じだったわけ」


「あーそうだよねー玉置アタマいいし、教えんのも上手いしねー」



ヒロコはもう諦めたかのように、あたしの顔すら見ずにジュースをすすっている。



「玉置、何かあったのかなぁ。なんであんなこと言い出したんだろ。玉置らしくもない」


はぁ、とあたしはため息をつく。



「はぁ、じゃないよ、まったく。ため息つきたいのはコッチだっての」


ヒロコの顔が、だんだんマジになっていく。


「だいたいねー、杏樹は3回くらい告ってフラれ続けて、それでもまだ玉置が好きなのに、玉置が告ってきたらなんでフるのよ?!」



ヒロコの声が大きすぎて、回りの何人かが小さな悲鳴をあげたのが聞こえた。



「でもあれは…ホントにそんなんじゃなかったんだよ…」



あたしも視線を落として昨日の夕方のことをもう一度よく思い出してみる。