愛してる、なんて言わないで【短編】


『嬉しくない訳じゃないの』

……嬉しくないはずがない
大好きな人からの愛の言葉をイヤだなんて思わない。

「うん」

『ただね、まだ“愛してる”ってよく分からなくて…』

「うん」

『どこからが“愛”か“恋”かも分かんない』

「……“愛は真心、恋は下心”」

『へ?』

「知らない?」

『うん』

「俺が言ったのは“恋”だった……喜ぶんじゃないんかって下心」


そっとあたしの頬を撫でると、彼はいつものように優しく笑う。