あたしの仮旦那は兄貴の親友

「別に好きで結婚したんじゃない
こいつが勝手に
あたしを妊娠させて
勝手に責任をとるって言うから
とらせてあげただけ」

「妊娠?」

花音ちゃんが驚きの声をあげた

「でも流産しちゃった
だからすぐに離婚しようって
言ったんだけどね」

「離婚?」

「最近の出来事だよね…きっと」

「まあ、最近だけど
あたしのことは気にしないで」

「気にするって!」

すっと理科室を静かに後にするあいつが
目の端に映った

気をきかしてくれたのか?

それとも聞くのが嫌になったのか?

勝手に話すあたしに怒ったのか?

「平気だって
もうすぐ離婚が成立して
何にもなかった頃に戻るんだから」

「果恋ちゃん?」

そう…離婚しないと

全てを白紙に戻して
あいつにはもとの生活に戻って欲しいよ