「シャワー浴びたから
次、誠也どうぞ」

「わかった
湯ざめしないようにね」

あいつがあたしの額にちゅっと
キスを落としてから
浴室に入って行った

最後まではできなかったけど
満ち足りた時間だった

幸せだった

あたしはソファに座ると
学生鞄の中にしまってある
婚姻届を広げてみた

あいつが書いた名前をじっと見つめた

好きだけど…
好きだから

このままじゃいけないんだ

あいつの幸せを考えるなら
あたしと結婚生活はよくないよ

このままずっとエッチだってできないかもしれない

怖いし
赤ちゃんが流れた箇所を
あいつに見られたくない

触れて欲しくないんだ

この先一生
できないままだったら

あたしはあいつの子を身ごもれない

もう妊娠ができないってことだ