---- ボウッッ・・・


絵里香の手から落ちた火が、床の灯油に引火した。

その火も、やはりスローで再生されているかのように、ミミズが床を這うように火はゆっくりと伸びていった。


「せんせぇーーーーーっっっ!!!」


ガラス越しにちからイッパイ叫んできたヒカルに、令子も大声で応えた。



「奥村くん!自動ドアを手で開いて!!

カギは開いているわ!!」


ヒカルは、ほぼ時間の止まっているような、ミユとサツキがカギを開け終えたのを確認した。

ドアの中央に走り、ちからイッパイに、今度はガラスのドアを開いた。



「クッ・・・クワァアアアアアアーーーーーーーッッッ!!」



ガラスのドアを開くと、急いで中へ入り、ミユとサツキの元へ駆け寄った。


同時に令子は、供養の最後の言葉を述べていた。



「畏てナイジェル御霊、浄化し賜う。」


それを言い終えると、次に令子は、手に持っていた板きれを、たった今点いた炎の中に投げ込んだ。

板きれは、ボウッという音と共に、豪快に炎に焼かれた。

その瞬間、ナイジェルの周囲は強い光に包まれ、真っ白い世界となり、何も見えなくなった。