「エリー!ほら、行くよ!!

このままじゃヤバイって!!」


そう言って駆け寄った2人を、絵里香は振り返り、両手で突き飛ばした。


---- バンッッ!!


ミユとサツキは同時に突き飛ばされ、ヌルッとした床に倒れた。


「・・・エリー・・?!」


2人は動揺しながら、絵里香を見上げた。

絵里香も、恐怖に怯える顔で2人を見下ろした。



「ハァ・・ハァ・・か・・身体が・・勝手に動く・・・」


絵里香のただならぬ様子に、ミユとサツキも動けないでいた。

令子は、ズボンのポケットからサッと数珠を取り出した。

ヒカルも、ガラス越しにその状況を見ていた。



「・・どうしたんだ・・何があってるんだ・・一体・・・」



令子が数珠を構えると、絵里香の背後に1人の少年がおぼろげに現れた。

以前、絵里香が言っていたような・・・

エンジェル・・・・

金髪の少年は、まさしくヒカルにもそのように見えた。



「あれが・・・エンジェル・・・」


ヒカルは目を丸くした。

隣では警官が、なにやら本部に連絡をしていた。


「・・はい。

新たに男が1人現場に現れ、石油らしきものを撒きました。

状況は一刻を争いますっ・・・」



その報告を聞き、ヒカルは思った。


『あのエンジェルが見えているのは、恐らく・・オレと先生だけだ!!』