(萌々香! あのコだって
相当驚いてるはず!

どうしよう、大丈夫かな……!?)


顔を出すわけにいかない
から、音だけで判断する
しかない。


しばらく誰の声も聞こえ
ないのが、より一層不安を
掻き立てた。


だけどしばらくすると、
ようやく今まで同様、
完璧に模倣された風間
夫人の声が、静かに言葉を
紡ぎ出す……。


「そう……。

冷たくなっていた私に、
あなたはどんな言葉を
かけたのですか?

私はあの時、まだ混沌の
中にいて、あなたの声を
聞いていないの……」


「文恵……。文恵……!!

どうしていいかわからなかった。

どれだけ名前を呼んで
揺さぶっても全く動かない
お前がそこにいて……
悪夢でも見ているのかと思った」