三人が目配せし、ギターとベースが高くジャンプして、曲が終わった。
メンバーはみんなびっしょりと汗をかいて、肩で息をしている。
(バンドってそんなに体力を使うんだ…)
何も知らないあたしはただ感心した。
次が最後の曲で、徐々にその雰囲気に慣れてきたあたしも、いつしかリズムに乗って小さく体を揺らしていた。
「次のライブ告知!」
ボーカルが息も絶え絶えという感じで言い、あたしは耳を澄ませた。
「次は、2月25日。また来てくれよ!つーか、来てください、まじで」
両手を合わせるボーカルに、観客から笑い声が上がった。
"2月25日"―――あたしその日を頭にしっかりとインプットした。
「ありがとう!」
三人が手を振って歓声に応え、舞台横のドアに消えていった。
あたしはいつまでも、誰もいなくなったステージを見つめていた。
初めての衝撃に、しばらく正気に戻れそうになかった。


